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2025.12.12

ニュース

12月1日(月)、INGEM & ToMMoセミナーシリーズ第43回を開催しました

今回は、大阪医科薬科大学の斯波 真理子 特務教授と、金沢大学附属病院多田 隼人 助教のお二人をお迎えし、『家族性高コレステロール血症 (FH) の今とこれから』をテーマに講演いただきました。

斯波先生は『FH 臨床研究:未解決の課題』をテーマに、FHは早期治療で改善が期待できるにもかかわらず、依然として見逃されている患者が多い現状を紹介されました。FHの多くはヘテロFHで、幼少期からLDL-C値が高く、放置すれば若年性動脈硬化症や心筋梗塞を発症するリスクが高まります。診断では、家族歴や血液検査に加え、アキレス腱の肥厚や腱黄色腫が重要な手がかりとなりますが、外見に特徴が出ない患者も多いため、確定診断には遺伝学的検査が不可欠であると述べられました。また、FHは小児期の早期診断が予後の大きな改善につながることから、小児期のマス・スクリーニングの重要性が強調され、全国的な実施への期待が示されました。

続いて、多田先生は『FH ゲノム研究:Hospital-basedでの経験』をテーマに、FHの遺伝学的理解に基づく診療の重要性を紹介されました。重症型のホモFHに比べ、より頻度の高いヘテロFHは一般人口の300人に1人とされています。しかし、典型的な症状がそろわないケースも多く、診断につながりにくい点が課題です。そのため、患者のLDL-C値、冠動脈疾患の既往、家族歴といった臨床情報に遺伝学的検査を統合し、FHのリスク層別化に取り組んでいます。その結果、遺伝学的検査は患者本人の治療方針の決定だけでなく、家族の早期診断につながることが示されました。

また、斯波先生、多田先生ともに、FH診断において家族歴が非常に重要であることから、ToMMoが実施する三世代コホート調査に対し高い関心を寄せられていました。

ハイブリッド形式で開催したセミナーには、ToMMoINGEMのみならず、学内から多分野の教職員、医学系研究科の学生あわせて48名の参加があり、質疑応答では活発な意見が交わされました。

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