2024.12.2
ニュース11/14、第10回医薬品開発研究センターシンポジウムを開催しました
2024年11月14日(木)、東北大学薬学部・薬学研究科 医薬品開発研究センター(RCPD)と多元物質科学研究所、および未来型医療創成センター(INGEM)、東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラムの共催、並びにオープンイノベーション事業戦略機構の協力のもと、第10回医薬品開発研究センターシンポジウムをハイブリッドで開催しました。
本シンポジウムは、「次世代創薬に向けたアプローチ」というテーマを掲げ、低分子から中分子、ペプチド、核酸まで多様な創薬モダリティーにおける最新の進展について取り上げました。シンポジストとして、東北大学多元物質科学研究所の岡村 秀紀助教、鬼塚 和光准教授、中外製薬株式会社研究本部・中分子創薬化学統括マネージャーの棚田 幹將博士、東京薬科大学生命科学部の林 良雄教授、徳島大学大学院医歯薬学研究部の大高 章教授、そして本学薬学研究科の平澤 典保教授にご登壇いただき、独創的な研究成果を熱く語っていただきました。今回も、薬学研究科のみならず、他部局、他大学、製薬会社等企業から多くの申込みがあり、会場でも70人を超える教員、学生にお集まりいただきました。
左から、演者の岡村 秀紀助教、鬼塚 和光准教授、棚田 幹將博士、林 良雄教授、大高 章教授、平澤 典保教授、座長の土井 隆行教授、永次 史教授、岩渕 好治教授
岡村 秀紀助教には、細胞内で光反応によって含窒素芳香環を構築して薬効を制御する画期的な低分子モダリティの開発についてお話いただきました。鬼塚 和光准教授には、RNA-低分子間相互作用の大規模解析を可能とする技術および核酸結合タンパク質を網羅的に解析する最新の化学技術を紹介いただき、RNAを標的とする創薬の新たな可能性を示していただきました。また、棚田 幹將博士からは、ごく最近、中外製薬において確立された中分子創薬プラットフォームの鍵となるコンセプト、および中分子ペプチドに薬らしい性質を持たせるための指標の規定と非天然ペプチドライブラリーの構築と展開について解説いただきました。林 良雄教授からは、ペプチド化学を基盤としたアカデミアにおける創薬研究でのご経験とともに次世代の研究者へのメッセージをユーモラスなエピソードを交えてお話いただきました。大高 章教授からはご自身の40年前のS-保護システインスルホキシドの化学変換を巡る失敗を、「言語化」して学生とともに再挑戦し、見事に成功に到達した過程と最新の展開を踏まえて、アカデミア研究の醍醐味を語っていただきました。最後に、平澤 典保教授からは、免疫応答を調節するサイトカインTSLP (thymic stromal lymphopoietin)の産生を制御する低分子化合物の探索と標的同定について、共同研究のドラマチックな展開と薬学研究科内の分野横断的研究で得られた最新の成果についてお話いただきました。いずれの技術も、東北大学における創薬研究を大きく推進するものであり、これらの技術をもとに、医薬品開発研究センターと、他部局、企業との連携がいっそう促進されるものと考えられます。
東北大学薬学部・薬学研究科 医薬品開発研究センターとの連携をご希望される先生方は、お気軽にご相談ください。
関連リンク
東北大学薬学部・薬学研究科 医薬品開発研究センター(RCPD)