2022.6.30
成果日本人5万人分の全ゲノム情報の解析を完了~3.8万人分の全ゲノムリファレンスパネルを公開~【プレスリリース】
発表のポイント
・ 日本人一般住民集団5万人分の全ゲノム情報*1の解析を完了しました。
・ 官民共同10万人全ゲノム解析計画に基づくものであり、2021年3月に設立した「全ゲノム情報と医療・健康情報の統合解析コンソーシアム*2」からも大きな支援を受けています。解析したデータは、順次、全国の研究者に提供します。
・ 5万人のうち3.8万人分の解析データをもとに、日本人全ゲノムリファレンスパネル 38KJPNを公開しました。
概要
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は、官民共同10万人全ゲノム解析計画に基づき、東北メディカル・メガバンク計画(TMM計画)によるコホート調査*3に参加した約15万人のうち5万人分の全ゲノム解析を完了しました。一般住民の集団を対象とした大規模な全ゲノム解析としては世界有数の規模であり、今後、日本における革新的な創薬をはじめ多様な研究開発に貢献することが期待されます。今回の解析をもとに、血縁関係にないと推定される3.8万人分のバリアント*4のアレル・ジェノタイプ頻度*5情報からなる日本人全ゲノムリファレンスパネル38KJPNがデータベースjMorpで公開されます。
今後も順次、データを公開し全国の研究者に提供します。
用語解説
*1 全ゲノム情報 : ここでは次世代シークエンサーにより解析した個人のすべてのゲノム情報を指す。
*2 全ゲノム情報と医療・健康情報の統合解析コンソーシアム : 2021年3月にスタートしたToMMoと製薬企業5社の参画によるコンソーシアム。(プレスリリース「10万人の全ゲノム解読を目指した、 統合解析コンソーシアムの設立」)
全ゲノムリファレンスパネル : 東北メディカル・メガバンク計画で実施された、日本人の一般住民数千人の全ゲノム次世代シークエンシング解析により、検出されたゲノムDNAバリアントから構築された日本人ゲノム配列のパネル。一般住民のゲノム情報をもとにしているためリファレンスとして有効である。
*3 コホート調査 : 一定の集団を対象に長期に渡って生活習慣と疾患の発症について調査することで、生活習慣または特定の事象の暴露と疾患発症リスクとの関係を解析するための分析疫学の一手法。TMM計画のコホート調査ではゲノム解析を実施しており、ゲノム情報(体質)と生活習慣や環境がどのように病気などの表現型と関連するか調べることができる。
*4 バリアント : 標準となるゲノム配列とは異なる箇所のこと。
*5 アレル・ジェノタイプ頻度: アレル頻度は、ある集団における DNA バリアントの塩基(A,T,G,C)の頻度で、アレル(同じ座位上で対立して存在する塩基)ごとに算出する。今回は対象となった日本人3.8万人中の頻度となり、最大で7.6万アレルのうちにどれだけ検出されたか計算される。ジェノタイプ頻度は遺伝子型頻度ともよばれ、父母から由来する二つのアレルの組み合わせの頻度。今回の発表では、対象となる3.8万人の中で、ホモで持つ(父母由来の情報が双方ともある)、ヘテロで持つ(父母いずれかからのみ持つ)などを分けて算出している。
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