2025.2.19
ニュース2月14日(金)、INGEM & ToMMoセミナーシリーズでYale大学のJohn S. Tsang教授が講演されました
今回は、Yale大学のJohn S. Tsang教授をお迎えし、『Human Immune Setpoint and Immune Health』をテーマに、免疫システムの多様性と健康への影響について講演いただきました。
Tsang先生は、免疫を単なる細胞や分子の集合ではなく、相互作用するダイナミックなシステムとして捉える「システム免疫学」の重要性についてお話になりました。
プロテオミクス、メタボロミクスなどのオミックスデータを活用し、個々の免疫状態を定量的に分析。その結果、個人のベースラインとなる免疫状態が感染症やワクチン接種の効果、自己免疫疾患、がん免疫療法の反応に影響を与えることが明らかになりました。とくにワクチン接種後の抗体反応は、接種時の免疫のセットポイントによって大きく左右されることがわかりました。さらに、幼少期に確立された免疫のセットポイントは比較的安定しており、これが成人後の免疫応答の個性を形成する要因となることも示されました。
また、免疫の健康状態を定量化する「免疫健康指標(IHM)」の開発が進められており、個別化医療の精度向上が期待されることにふれられました。免疫の多様性を理解することが予防医療や治療戦略の向上につながると述べ、今後の研究の発展に意欲を示しています。
ハイブリッド形式で開催したセミナーには、ToMMo、INGEMのみならず、学内から多分野の教職員、医学系研究科の学生あわせて53名の参加があり、質疑応答では活発な意見が交わされました。
関連リンク
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