クライオ電子顕微鏡
利用案内
2021年、東北大学高等研究機構未来型医療創成センター(INGEM)に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業 創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS、https://www.binds.jp/)の支援を受けて、直接検出型カメラ(K3™ 、GATAN社製)を備えた最新鋭の300 kV電界放出形クライオ電子顕微鏡(CRYO ARM™ 300 II、日本電子株式会社製)が本学に設置されました。また2024年に、同じくAMED-BINDSの支援を受けて、走査型電子顕微鏡(CRYO-FIB-SEM JIB-4700F、日本電子株式会社製)も設置されました。INGEMでは本装置を学内外に広く開放し、凍結試料の作成から撮像まで一連の作業を支援しています。
クライオ電子顕微鏡法とは
タンパク質の分子構造に基づいた創薬には、標的となるタンパク質の高分解能構造情報を得ることが不可欠です。クライオ電子顕微鏡法は生体試料を急速凍結しガラス状の氷に閉じこめ、透過型電子顕微鏡を用いて直接観察する技術で、生体高分子複合体の立体構造を高い分解能で知ることができます。結晶化のプロセスを必要としないため、X線結晶構造解析で困難であった多くのタンパク質の立体構造解析が可能です。本装置により、東北でも世界最高レベルの分解能で多様な生体高分子の構造解析が可能となり、創薬等最先端の生命科学の支援拠点のひとつとして貢献しています。
また、細胞を瞬間凍結することにより、生きた細胞に近い状態で細胞内を撮影できるクライオ電子線トモグラフィー解析が、近年注目されています。観察する細胞は、凍結後、集束イオンビーム(Focused Ion Beam :FIB)-走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope, SEM)を用いて切片化する必要があります。INGEMでは2024年に新たにクライオ用FIB-SEMを導入し、CRYO ARM™ 300 IIとの組み合わせによりクライオ電子線トモグラフィー解析が可能になりました。
設備について
クライオ透過型電子顕微鏡
CRYO ARM™ 300 II(日本電子株式会社製)
加速電圧 300 kV、冷陰極電界放出型電子銃
直接検出型カメラK3™ (GATAN社製)
クライオ走査型電子顕微鏡
CRYO-FIB-SEM:JIB-4700F(日本電子株式会社製)
クライオステージ:VCT500(Leica社製)
クライオ蛍光顕微鏡システム(クライオステージ:Linkam Scientific Instruments社製、蛍光顕微鏡:ニコンソリューションズ社製)
試料作製装置
試料作製装置として下記装置を備えます。
・Vitrobot Mark IV(Thermo Fisher Scientific社製)
・EM GP2(Leica社製)
・IB-29510VET 真空蒸着装置(日本電子株式会社製)
・JEC-3000FC オートファインコーター(日本電子株式会社製)等
ご利用方法について
本クライオ電子顕微鏡のご利用には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業 創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)を通した申込みを推奨します。
※キャッシュをクリアの上、各PDFをご覧ください。