2026.08.03 成果

進行性腎細胞がんにおけるカボザンチニブ治療効果予測のための代謝物バイオマーカーに関する論文が掲載

東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野の坂本 泉助教、川崎 芳英准教授、伊藤 明宏教授、当センターの菱沼 英史助教(クリニカルフェノームグループ)、前川 正充准教授(遺伝子創薬グループ)らの研究グループは、進行性腎細胞がん患者の血清を用いたメタボローム解析により、分子標的薬カボザンチニブの治療効果を予測する代謝物マーカー候補を同定し、その有用性について腎がん細胞株を用いた実験で検証しました。

カボザンチニブは、進行性腎細胞がんに対する標準治療薬の一つとして広く用いられていますが、患者によって治療効果に大きな差があり、投与前に有効性を予測できる信頼性の高いバイオマーカーは確立されていません。そのため、治療開始前に薬剤効果を予測し、患者ごとに最適な治療法を選択できる新たな指標の開発が求められています。

本研究では、進行性腎細胞がん患者19名のカボザンチニブ投与前血清を対象に、液体クロマトグラフ-質量分析装置を用いた非標的メタボローム解析を実施しました。その結果、治療効果不良と関連する7つの代謝経路(メチルヒスタミン代謝、カフェイン代謝、β-アラニン代謝、ヒスチジン代謝、グリシン/セリン代謝、トリプトファン代謝、プリン代謝)および5種類の代謝物(メチルヒスチジン、キヌレン酸、キサンチン、7-メチルキサンチン、2-アミノ-3-オキソブタン酸)を同定しました。さらに、カボザンチニブ耐性腎がん細胞株を樹立して標的メタボローム解析を行った結果、これらの代謝経路や代謝物が薬剤耐性と関連することを検証しました。また、同定した5種類の代謝物を組み合わせることで、治療効果不良例を予測するモデルを構築しました。

本研究成果は、治療開始前の血清メタボローム解析により、カボザンチニブの治療効果を予測できる可能性を示したものです。今後、より大規模な患者集団での検証が必要ではあるものの、進行性腎細胞がんにおける個別化医療の実現や、患者ごとに最適な治療薬を選択する未来型医療への応用が期待されます。

本論文は、2026年7月31日にCancer Medicine誌の電子版に掲載されました。

 

書誌情報

タイトル:Predicting poor efficacy of cabozantinib in advanced renal cell carcinoma by exploratory metabolic pathway analysis and in vitro verification

著者名:Takanari Sakai, Yoshihide Kawasaki*, Izumi Sakamoto, Eiji Hishinuma, Naomi Matsukawa, Daigo Chiba, Tomonori Sato, Kento Morozumi, Masamitsu Maekawa, Nariyasu Mano, Akihiro Ito *責任著者:東北大学大学院医学系研究科 准教授 川崎 芳英

掲載誌:Cancer Medicine

掲載日:July 31, 2026

DOI:10.1002/cam4.72145

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