2026.07.14 成果

【プレスリリース】がん遺伝子パネル検査による新たな治療選択が予後改善を示唆 ―東北大学病院1,643例のリアルワールド解析―

発表のポイント

・ 1,643例のがん遺伝子パネル検査を解析し、国内有数の単施設リアルワールドデータ(注1)として検査後の治療状況を検討しました。

・ 株式会社日立ハイテクと共同開発してきた「エキスパートパネル(注2)支援システム」が、がんゲノム医療の質向上と新規治療開発につながる診療基盤として貢献しました。

・ がん遺伝子パネル検査で新たな治療が提案され、その治療を受けた患者では、治療を受けられなかった患者よりも生存期間が長く、検査が患者の治療に役立つ可能性が示されました。

 

概要

近年、がんの遺伝子を詳しく調べ、一人ひとりに合った治療を選ぶ「がんゲノム医療」が広く行われるようになってきました。しかし、検査後の推奨治療による予後改善の検証や診療へのフィードバックが課題でした。

東北大学病院個別化医療センターの猿舘知恵看護師、土橋美紀看護師、佐々木真亜子認定遺伝カウンセラー(3名の共同筆頭著者)と東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野の城田英和准教授らの研究グループは、2019年から2024年までに東北大学病院で実施した1,643例のがん遺伝子パネル検査を対象に、検査後の治療内容と患者予後を詳細に追跡しました。また、株式会社日立ハイテクと共同開発した患者情報の追跡を可能にする「エキスパートパネル支援システム」を活用して、解析を行いました。

その結果、14.6%の患者に新たな治療が提案され、そのうち118例(7.2%)が実際に推奨治療を受けました。さらにその治療を受けた患者では遺伝子パネル検査を受けた後の生存期間中央値が有意に延長し、がん遺伝子パネル検査が患者の治療機会を拡大し、予後改善につながる可能性が示されました。

本論文は、7月7日に国際学術誌Scientific Reportsに掲載されました。

 

プレスリリース本文

 

用語説明

注1. リアルワールドデータ:日常の医療現場から得られる実臨床データのこと
注2. エキスパートパネル:がんゲノムプロファイリング検査の結果を多角的に分析し、その患者さんに最適な治療法(分子標的薬など)を検討する専門家集団の会議のこと

 

 

論文情報

タイトル:Clinical Utility of Comprehensive Genomic Profiling Tests Using MTB Management System at a Single Center in Japan

著者:猿舘知恵、土橋美紀、佐々木真亜子、城田英和*、岩崎智行、多田寛、島田宗昭、川守田直樹、金森政之、宮内栄作、新妻秀剛、笠原佑記、大内康太、今井源、西條憲、小峰啓吾、高橋雅信、古川徹、横田彩、金森英司、川上尚人、石岡千加史

*責任著者:東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野 准教授 城田英和

掲載誌:Scientific Reports

DOI:10.1038/s41598-026-61124-2

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