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お知らせ

2020.11.12

成果

血中の代謝物とゲノムとの関連性を発見 血漿メタボロームと遺伝子多型の関連解析が未来型医療実現のカギに【プレスリリース】

【発表のポイント】
・血漿メタボローム*1(代謝物)情報と遺伝子多型*2 情報の関連解析により、50種類近い関連が同定されました。関連する遺伝子の多くが疾患に関与することが報告されている遺伝子でした。
・ヒト由来だけではなく、腸内細菌由来の代謝物も遺伝要因の影響を受けていることが明らかになりました。
・性別、民族集団により、遺伝子が代謝物へ与える影響の効果に違いがあることが明らかになりました。

【概要】
 血液中の代謝物はヒトの健康状態に関係しているものが多く、バイオマーカー*3 として利用されています。一方、ゲノム上の遺伝子多型の多くについては健康状態 との明確なつながりを示すことが困難です。東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)では、代謝物とゲノムとの関連を明らかにする metabolome-genome wide association study(MGWAS)を提案してきました。
 今回、当センター小柴生造教授(東北大学メディカル・メガバンク機構 兼務)らのグループは、東北メディカル・メガバンク計画におけるコホート調査*4 によって得られた1,008人の血漿メタボローム情報と全ゲノム解析情報についてMGWAS を実施し、50 種類近い関連とその詳細について明らかにしました。関連を同定した遺伝子の多くが疾患に関与することが報告されていること、腸内細菌由来の代謝物への影響、性別や民族集団による代謝物の分布の違いなど、疾患の成り立ちの解明につながっていく知見が得られました。

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プレスリリース詳細

 

書誌情報

タイトル:Identification of critical genetic variants associated with metabolic phenotypes of the Japanese population
日本語タイトル:「日本人集団の代謝表現型に関連する重要な遺伝的変異の同定」
著者:Seizo Koshiba, Ikuko N. Motoike, Daisuke Saigusa, Jin Inoue, Yuichi Aoki, Shu Tadaka, Matsuyuki Shirota, Fumiki Katsuoka, Gen Tamiya, Naoko Minegishi, Nobuo Fuse, Kengo Kinoshita & Masayuki Yamamoto
掲載誌:Communications Biology
掲載日:2020年11 月11 日
DOI:10.1038/s42003-020-01383-5.

 

用語説明

*1 血漿メタボローム:血漿中に含まれる代謝物(メタボライト)。
*2 遺伝子多型:ゲノム配列において個人間で異なる多様性。
*3 バイオマーカー:疾患の発症や進行を反映する生体内分子。
*4 コホート調査:特定の集団を一定期間追跡することによって、環境要因や遺伝的 要因と疾病発生の関連を調べる調査。ここでいうコホート調査は「東北メディカル・ メガバンク計画」の長期健康調査のこと。

 

関連リンク

東北大学東北メディカル・メガバンク機構