口腔扁平苔癬の口腔マイクロバイオームに関する論文が掲載されました
口腔扁平苔癬(Oral lichen planus : OLP)は、口の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、白い網目状の模様や赤み、ただれなどがみられます。また、一部では口腔がんとの関連も指摘されているため、継続的な経過観察が必要な病気とされています。これまでのところ、OLPにおける口腔マイクロバイオームを詳細に調べた報告は限られていました。このたび、OLP患者では、採取部位によって異なる特徴的なマイクロバイオーム変化が認められることを明らかにした論文が、Oral Diseases誌に掲載されました。
本研究は、東北大学の東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)、未来型医療創成センター(INGEM)、歯学研究科の研究者が協力して、OLP患者と健常者の口腔内の細菌を比較したものです。
研究では、口腔内の粘膜に病変があり、詳しい検査のためにかかりつけ歯科から東北大学病院歯科顎口腔外科へ紹介され、その後の病理組織学的な検査でOLPと診断された患者35名と、健常者47名、計82名の検体を用いました。唾液・歯垢・舌苔の3種の口腔検体が初診時に採取され、その後INGEMのクリニカルバイオバンクに保存されました。これらの口腔検体と、ToMMoのメタゲノム解析基盤を用いて細菌の遺伝子を解析し、口腔内の細菌叢を明らかにしました。その結果、OLP患者では唾液・歯垢・舌苔のいずれでも健常者とは異なる細菌叢の特徴がみられました。特に唾液では多くの違いが認められ、同じ口腔内でも採取する場所によって得られる細菌の情報が異なることも分かりました。
本研究は、日常の診療で採取した検体をバイオバンクに保存し、後から研究に活用することで、新たな病気の特徴を明らかにできた成果です。
書誌情報
タイトル:Oral Microbiome Alterations in Oral Lichen Planus Across Saliva, Dental Plaque, and Tongue Coating
著者名:Atsumu Kouketsu, Toru Tamahara, Satoshi Fukase, Tatsuru Saito, Akiko Ito, Pawat Sripodok, Yutaro Higashi, Tsuyoshi Kurobane, Tomonari Kajita, Masaaki Miyakoshi, Masahiro Iikubo, Kensuke Yamauchi, Kazuki Kumada, Bin Li, Muneaki Shimada, Miguel Reis Ferreira, David Moyes, Ritsuko Shimizu, Tsuyoshi Sugiura.
掲載誌:Oral Diseases
掲載日:2026年8月24日
DOI:10.1111/odi.70480